どうも、ポンチ熊(@ponchiwork)です。
先日9月12日に『投信エキスポ2020』が開催されたそうです。地方在住だとなかなかこういったイベントに参加する機会はありませんね。
モーニングスター社の朝倉智也社長が基調講演をされており、同社のHPで講演内容や動画が公開されています。
最後のスライドにある『ポストコロナの資産運用の考え方』として、下記の3点が挙げられています。
- バリュエーションの高い米国株式の比率を抑えて、中国を中心とした新興国株式への比率の拡大を検討する。
- 期待収益率の大幅な低下により、ポートフォリオ全体の債券比率は抑え、かつ債券は国債に加えて投資適格社債等を組み入れる。
- 10年以上続く米ドル高の修正と、米実質金利の継続した低下に備えて、金(為替ヘッジ)を組み入れる。
※上記記事のスライドより転載
1番目の新興国株式の割合を上げるのは『新興国』の括りをどうするか(中国や台湾のようにハイテクが牽引する市場とロシアやブラジルのような資源国は分けて考えた方がいいのではないか?)という疑問はありますが、2,3番目は今の環境だとベターなのかもしれません。
緩和マネーがジャブジャブで米ドル・ユーロ・円・ポンド・スイスフランなどの主要通貨の殆どがゼロ金利に張り付いており、伝統的な債券投資に替えて金(ゴールド)や投資適格社債を投入するというわけですね。
実際に計算してみる
こちらは国内で唯一まともに使用できる(と思っている)投資適格社債ETFである【1496】iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債ETF(H有)の1年チャートです。
見ての通り、コロナショックの時は株式と一緒に沈み込み、以降は株式指数に合わせて急回復しています。
投資適格社債とゴールドに為替ヘッジを噛ませてどこまで分散と下落耐性が得られるのでしょうか。
オルタナティブ資産クラスの低コストファンドの運用実績も出てきており、下記の6ファンドの基準価額を利用して簡易的に計算してみました。
★日本株式:iシェアーズ・コア TOPIX ETF
★先進国株式:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
★新興国株式:eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
★先進国債券(ヘッジ有):たわらノーロード 先進国債券<H有>
★投資適格社債(ヘッジ有):iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債ETF(H有)
★ゴールド(ヘッジ有):ゴールド・ファンド(H有)
この6ファンドの2017年9月~2020年8月の3年間のデータをモーニングスターから引っ張って計算してみました。
どのファンドも運用期間はまだ短くデータとしては心許ないですが、コロナ・ショックを始めボラティリティの高い期間のデータであり、参考にはなるかと思います。
標準偏差と相関係数
6資産のインデックスそれぞれの標準偏差と相関係数です。予想通り、先進国債券と株式クラスの逆相関が見られます。
為替ヘッジ付きの先進国債券は円建てのボラティリティも小さく、株式の変動に対するクッション効果が期待できます。
対する投資適格社債は外国株式クラスと比較すると弱い順相関を示しています。
ボラティリティは株式に比べると小さいので、リターンが期待できるのであれば分散の一環としては面白いかもしれません。
ゴールドは株式とは無相関に近い動きをしています。ちなみに為替ヘッジをかけなくても似たような傾向が見られます。
ただ、この期間は円/ドルが100~110円の適温レンジ相場で動いていたことには注意が必要ですね。
実際にポートフォリオを組んでみる
過去のリターンを未来に当てはめてはいけないとは言われますが、歴史的には株式のリターンは債券のそれを上回っています。
許容できる標準偏差の範囲で、株式比率が最も高くなるようにポートフォリオを組んでみました。期待リターンは便宜的に適当な数字を入れてあります。
ポートフォリオ全体の標準偏差を10%(最大想定ドローダウン35%程度)に設定した場合、日本株式60%:先進国債券30%に、他の資産を少しトッピングした形になりました。
さすがに日本株式偏重で極端に見えますが、ボラティリティだけを考えると投資適格社債の出番は無さそうです。
また、ゴールドは少し混ぜておくとポートフォリオ全体のシャープレシオが上がるというアノマリーについても見て取れます。
先進国債券だけでなく、ゴールドのリスク寄与度もマイナスの値を取っていることに注目ですね。
最小・最大分散度ポートフォリオの場合
ポートフォリオ全体の標準偏差を最小に抑える場合は下記の通りです。
日本債券を使わないバージョン(日本債券は無リスクの現金で別建てと考える?)の最小分散ポートフォリオですね。
想像の通り、殆どが先進国債券のポートフォリオになっています。社債は残念ながらここでも出番はありませんでした。
(各アセットの標準偏差加重平均)÷(ポートフォリオ全体の標準偏差)が最大値を取るようにデザインした場合は下記の通りです。
こちらがいわゆる『最大分散度』と呼ばれるポートフォリオのデザインです。
いびつなポートフォリオになっていますが、これは『アセットの期待リターンの源泉はリスクである』という考え方のもとにシャープ・レシオを最大化するようにデザインしているためです。
実際はこんな配分にすることは無さそう(先進国と新興国の株式を別建てのアセットにすると、どうしてもこういう結果になりがちです)ですが、ここでも社債の出番はありませんでした。
リスクパリティポートフォリオの場合
各アセットを必ず使用する前提の場合、リスクパリティポートフォリオを組むこともベターな選択肢かもしれません。
6資産のポートフォリオ全体へのリスク寄与度を均一にデザインしています。もっともらしく見えますが、アセットの区切りが恣意的であることには注意が必要です。
J-REITは別建てにしよう、新興国債券も加えよう、などとアセットの分類を増やそうと思えばいくらでも増やせますからね。
外国の社債に為替ヘッジをかけるというアイディアは良いのですが、わざわざリスクも期待リターンも微妙な投資適格社債を使用しなくても、先進国株式に部分的に為替ヘッジをかける手もあります。
日本人が円建てで海外投資をする場合、下手にアセットを増やしていじくるよりも、初めから外国株式に為替ヘッジをかけた方がパフォーマンスが上がりそうだという不都合な真実もありますです。。。
短期間のパフォーマンスなので未来のことは分かりませんが、参考までに。
個人的にはゴールドに投資する場合は現物裏打ありの実物ETFにしておいた方がいいのではないかとも思っています。
ではまた。明日も色んな価値をBuy & Drip...
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